注文住宅では決めることがたくさんありますが、外壁選びもその一つ。
外壁のメンテナンス費用は100万円以上かかることもあるので、新築時にはしっかり検討したいですよね。
そこで、今回は外壁の選び方について外壁メンテナンスのプロで『後悔しない外壁塗装のマニュアル』を運営している「しかちゃん」に話を聞いていきたいと思います。
しかちゃん(対談者)について
しかちゃん
外壁塗装の営業マンとして外壁塗装で失敗や後悔してきた人をたくさん見てきた経験から「後悔しない外壁塗装」のノウハウを公開しています。
運営ブログ:後悔しない外壁塗装のマニュアル
30年持つ外壁はメンテナンス不要?
それでは『しかちゃん』に新築時の外壁選びについてお話を聞いていきたいと思います。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
さっそくですが、新築時に外壁を選ぶときの注意点ってありますか?
まず日本の住宅の外壁では窯業(ようぎょう)系のサイディングボードが一番多く使われています。
メーカーによって30年メンテナンスフリーですよとか、ノーメンテナンスで過ごすことができますよってありますよね。
はい、ありますね。
新築の住宅を建てるときってすごい魅力的に感じると思うんですね。
私も30年もメンテナンスいらないならこれでいいじゃんって思ってました。
私も外壁塗装の仕事をさせていただいていますが、
「30年持つと言われたんだけど、汚れがやっぱり気になる。」
「サイディングボードの間にあるシーリング材がもう10年ぐらいで劣化をしてる。」
と言うご意見をいただくことがあります。
要は、外壁のボード単体は確かに持ってくれるかもしれないけど、それ以外のところがもたないですよってことがよくあるケースなんですね。
そうなんですか。
確かに新築時に長く持たせたいと『30年持つ』サイディング材を使う選択はすごく良いことだと思います。ですが、ノーメンテナンスに30年もつってことを100%信用するのは、今の段階ではしない方が良いかなっていうのが私の意見になります。
シーリング材は10年で劣化する?
やっぱりシーリングの劣化が問題なんですか?
そうですね。シーティングの劣化というのは、やっぱり問題になります。
シーリング自体は新築のときは柔らかいんですけど、どんどん硬くなっていっちゃうんですね。
硬くなると何か問題あるんですか?
はい、シーリング自体、建物の揺れで外壁材同士がガツンガツンと当たらないようにする役割も持ってくれています。そこがガチガチに硬くなって駄目になってしまうと、サイディング材同士が当たってしまって30年もつ外壁材でもその衝撃で壊れてしまうことがあるので、すごく問題になりますね。
なるほど、シーリングには衝撃吸収材のような役割もあるんですね。
ちなみにシーリングも塗装の範囲に入るんですか?
入るんですよ。
入るんですよ。
シーリングの交換っていうのは大体10年ぐらいですか?
基本的には10年だと思っていただいて大丈夫です。
ただ良いものを使えば、20年持ってくれますってものもあるので、新築時には20年持つものを使ってあげてもいいかなとは思います。
30年持つサイディングの実証データは?
シーリングが10年〜20年、サイディング材は30年の耐久性があるけど、見た目が汚くなるって考えで良いですか?
そこすごく難しいところなんです。
確かに見た目のところも悪くなってきます。
ただ、耐久性が本当に30年もつかっていうと、その立証がそもそもできてない段階になるんですよ。
えっ、そうなんですか?!
何をもって実証かっていう基準なんですけど、これはよく塗装屋の塗料選びにも共通するところにもなってきます。
30年持ちますっていうサイディングボードもしくは塗料、実際塗ったものが30年経ったデータがほとんどないんです。
でも、実験とかはしてるんじゃないですか?
確かに実験や検証ですごく繰り返して使われていますが、確実に30年持ちますよっていう実証データが必ず出てるかといえば、そういうわけではないのが実情です。
サイディングボードっていう建材が使われ始めた、要は世の中に普及し始めたのが阪神淡路大震災後なんですね。
え〜っと、1995年頃ですね。
はい、それを考えるとその当時生まれたものが今ちょうど30年ぐらいたってきてるというタイミングなんです。実証データが少ないので定期的にメンテナンスをすることは、外壁を長く持たせてあげる、外壁性能や効果を最大限に引き出すために必要な工事と考えてもらうと良いと思います。
なるほど、メンテナンスした方がより長く使えるってことですね。
ノーメンテナンスの売り文句を信じるのは、今の段階ではまだ、というところです。
定期的なメンテナンスが大切な理由
実際にそれでよく起きているのが、ちょっと外壁材から離れちゃうんですけど、カラーベストっていう屋根材が2000年ぐらいからアスベスト使用禁止になったタイミングがあるんです。
アスベスト問題はテレビでも話題になってましたね。
アスベストが抜かれてからのカラーベストって結構バリバリに割れてるお家が多いです。特に築20年から25年のお家。
えっ、そうなんですか?!怖いですね。
その当時はすごくいいものだと言われていても、実際蓋を開けてみたら、そういうことが起きている。
住宅メンテナンスのタイミングで見つかることが本当に多いんです。
だからこそ定期的にメンテナンスや点検をしてあげる必要があります。
外壁メンテナンスをやるかどうかは別にして点検だけはしておいた方が良さそうですね。
はい、点検だけでも良いのですることをオススメします。
サイディングとモルタル、維持費がかかるのはどっち?
うちの外壁はモルタルなんですけど、モルタルの場合はどれぐらいの間隔でメンテナンスした方がいいですか?[
モルタルであれば築10年から13年ぐらいのタイミングで一度塗り替えをしてあげる方がいいです。
早めにメンテナンスをして問題が見つかれば後から大きなコストがかかってこないので、補修箇所が小さいうちに守ってあげる方がいいですね。
モルタルだとシーリングがないので、その分サイディングよりも維持費が下がるのかと思ってたんですが、どうですか?シーリングだけで20万いったりとかするんで。
確かにそれは言えますね。
ただ、モルタルの場合は塗装屋さんの工法によってくるんですけど、サイディングボードよりも使う塗料の量は多いです。その分を考えるとサイディングボードとモルタルの塗装費用はトントンぐらいにはなってくるかなっと思います。
ただ、モルタルでも窓周りのシーリングは打っておいた方が安心なので、そのシーリング工事は必要になってきます。
モルタルでもシーリング工事が必要な場所もあるんですね。知らなかったです。
新築の外壁にオススメなのは?
外壁塗装屋さんとしては、新築時におすすめするのは、やっぱりサイディングボードですか?
サイディングボードですね。
家を購入した後のメンテナンスやトータルコストで考えると、サイディングが一番安いってことですか?
そうですね。サイディングが一番安いと思います。
例えばサイディングボードがバリバリって割れちゃいましたとか、そういう場合でも何枚も何枚も重ねて張ってあるので、割れた部分だけを交換してあげることもできるんです。
なるほど。壁の一部分だけの交換ができるんですね。
外壁一面を全部やらなくちゃいけない状況なのか、本当に一部だけ変えてあげればそれで済むのか。
部分補修が可能かどうかは補修コストを考えた場合にメリットになるかと思います。
確かにパーツ単位で補修できるのはメリットですね。
そういうコスト的な面で言うと、モルタルはちょっと損してる点があるかもしれないですね。
確かに、そうですね。
劣化の度合いにもよりますが、外壁材が浮いてきてしまった場合は上から金属のサイディングボードを貼る方法があるんですが、結構大きな費用がかかってしまいます。
モルタルの上にサイディングを張ることもできるんですか?
できるんですよ、カバー工法という方法で可能です。
へえ。それも塗装になるんですか?
塗装ではないんですけど、塗装じゃ難しいなっていう場合にご提案することはあります。
カバー工法をやると外断熱みたいになりますか?
層ができるので多少は断熱効果はあると思うんですけど、そこまであまり期待はしない方がいいかと思います。外が金属っていうこともあるので、金属は熱を持ちやすいので。
断熱効果は期待できませんか、残念です。
まとめ
結論としては、新築時に選ぶ外壁はやっぱりサイディングが一押しってことですね。
はい、サイディングは一押しですね。その次にモルタルです。
大変参考になりました。ありがとうございました。
はい、ありがとうございました。
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